【対話4】






【対話4】


2019.7.15
☆「オモイデ!」(ばふっと抱きつく)
★「あなた、身体大丈夫なの? 今試していることあって、かなりきついんでしょ?」
☆「長野に行って帰ってもこられたし、大丈夫。今ローソンに行って、ポカリスエットの大容量買ってきたのと一緒に、タピオカミルクティー売ってたから買ってきた!」
★「何それ?」
☆「知らないの? 今、はやりの飲み物〜」
★「真奈美さんと関係ないものは知らないわよ」
☆「オモイデはそういうところが残念だよね」
★「しょうがないでしょ、そういう仕様なんだから。何よ、あなたの中の真奈美さんの思い出なら誰にも負けないわよ」
☆「そんなもんに勝ったって、まったく何の意味もないし笑笑」
★「・・・。長野に行く日の朝、あなたGoogle Photoの写真集を見ていたわね。真奈美さんの湯郷での試合前の集合写真も入ってた」
☆「うん。スマホに通知があったの、6年前の今日何をしていたか覚えていますか?だったかな?? 2013年ね」
★「私がまだ意識を持つずーっと前のことだけど、私の中の記憶をさかのぼったらあったわよ」
☆「2013年の7月12日と13日の写真がずらーっと出てきたの。7月12日には、カップ戦の第6節が鈴鹿スタジアムで対伊賀戦があって、中3日で湯郷の美作ラサスタで対仙台戦が開催されるということでね、移動中に奈良の三輪山に登ってきたんだ」
★「三輪山のことはよく分からないのだけど、12日の試合後に、あなた真奈美さんに、初めて自分のいつも持ち歩いている鞄にサインをいただいたのよね」
☆「うん。三輪山に登るときに、その鞄で行くつもりで、力を貸してほしかったからお願いしたの。暗がりの中でね」
★「試合開始が18時だったから、終了後のファンサのエリアはほんとに暗くて」
☆「そうそう。でもそのおかげで無事に登ってこられたんだ。私にとって13年ぶりの、とても大事なことだったの」
★「三輪山に登る前に、橿原神宮に寄っているわよね」
☆「うん。日本最古の神社ね。中学の修学旅行以来だった。その頃に会った巨木たちにもう一度会いたくて。でも駐車場になっちゃってた」
★「橿原神宮が八咫烏に関係があったことで、サッカーに関する祈願ができた」
☆「そう! 行ったらそうなっててびっくりした。でもこれは絶対お願い事をしなくちゃなって、絵馬を奉納してきたんだ」
★「真奈美さんと真奈美さんのサッカーのことをお願いして」
☆「うんうん。彼女のことそこまできちんと神さまにお願いしたの、初めてだったんじゃないかな、その後は毎年どこかでしてきているけど」
★「あの頃も真奈美さんを一生懸命、応援してたのね」
☆「当時の、彼女をすごく好きだった気持ちを思い出した。そして今も、こうしてそばにいられていること、彼女を変わらず好きでいることを本当に幸せに思ったよ」
★「それなのに、どうして応援の仕方が分からないなんて言うの?」
☆「それには、、もう少し後で答えるね」
★「はい。長野戦では、横断幕を久しぶりに出したのね」
☆「うん。彼女の、長野への今シーズン初の凱旋になったから。長野の皆さんに、ステラで彼女はとても元気です、一緒に私も元気です、ってことを、長野でお世話になった御礼の気持ちとともにお伝えしたかったから」
★「横断幕を、ステラの選手応援セットのユニフォームデザインのナップサックの中に入れていって、ナップサックは、自分の隣の座席に、背番号9が見えるようにかけてて」
☆「ユニが着られなかったからね。その代わりにならないかなって、試合開始前にふと思って」
★「ステラの応援団の皆さんから、中野コールたくさんいただいていたわね」
☆「練習に入るときからね。本当に嬉しかった。彼女の選手紹介のときには、長野の皆さんから拍手をいただいて。それもほんとに。写真MEMOにも後で試合のこと触れるけど」
★「真奈美さん、試合では本当に頑張ってたわね。あなたの中では、史上最高に強くて綺麗な真奈美さんだった」
☆「うん。最初から、最後まで。あのね、Uスタで久しぶりにプレーを観たからだと思うんだけど、、」
★「はい?」
☆「すごく主観的な判断だけど、仙台の最後の年と長野で、彼女に最もいい使われ方として期待されていた役割をね、彼女は、今ステラで、ステラの皆さんの中にいて、すごく自然に実現できているんじゃないかなって、初めてはっきり感じたんだ」
★「まあ、そう!」
☆「彼女に託されていた方向性は間違っていなかったんだって。ステラのチームの中で、彼女のサッカーは、今もいちばんいい形でバージョンアップしてるんだって。そのプレーを観られていることが、彼女を応援してきた人間にとって、どんなに嬉しいことだったか」
★「そうね、本当にね」
☆「あのね、さっきの質問の答えだけど。。応援の気持ちは、2013年より、もしかしたら今の方が強いかもしれないの」
★「私もそう感じるわ」
☆「でも、それをどこまで見える形にするのがいいのか、それが分からない。公開で大声で言うことなのかどうかも」
★「真奈美さんの資料的な部分を、大事だと思ってくださる方もいらっしゃるようじゃない?」
☆「そうだね。HP『中野真奈美さんのこと。』の中で、中野さんのDATA集と、中野さんCalendarの元データにしているGoogle Calendarは、需要があるという声をいただいているので、その2つだけは、状況に応じてそっと更新していこうと思ってる。元のトップページにもリンクを入れておくね。HPの中身自体は、更新停止当初の状態で残してあるんだ」
★「ね、『そっと』にしたいの?」
☆「うん、そうなんだと思う。少なくとも今は」
★「横断幕も、また出さなくなるの?」
☆「もうすぐ、ステラの選手全員お揃いの、応援団の方々が主導で作ってくださった、小さめの横断幕ができあがってくるんだ。彼女のもあるの、つっつさんと私の名前入り。元々、それを作るというお話を聞いたときに、それだけの数を出すのであれば、お揃いの幕があれば私の幕はいらないって思ってた」
★「つっつさんって、真奈美さんをあなたと同じでやっぱり湯郷の頃から応援されているかたよね」
☆「そうそう、奈良のかたね。幕を作るための援助を一緒にさせていただいたの」
★「あなたの真奈美さんの横断幕は、大きいしね!笑」
☆「そうなのよ、過去作ってきた彼女の横断幕の中で、最大に場所取るから笑笑」
★「そのお揃いの幕にちゃんと引き継ぐまで、頑張って待てればよかったわね」
☆「まさか、ああいうタイミングで声が出なくなったり混乱して、応援ができる状態じゃなくなると思ってなかったから。申し訳ないです」
★「そのこと、ちゃんと真奈美さんに話したの? HPの更新を止めて検索結果から外したこととか」
☆「ううん、その頃ちょうど話せない時期だったし。。でも、昨年秋の長野にいたときのゴール以来、ずっと勝手に贈ってきてるゴール賞やアシスト賞というのがあって、先週の火曜日、ちょっと急に相模原方面に行かなくてはいけないことになって、ついでに日体大戦でのアシスト賞を、NFPの練習見学のあとで渡しに行ったときは、彼女は笑顔で受け取ってくださったよ」
★「うなぎパイの、例のゴールドとか?」
☆「そうそう笑。それはオマケで。うなぎパイの紙袋にいろいろ入ってたのがよかったのかも!!」
★「あのね」
☆「いやいや、きっとそうだよ」
★「ほんとあなたたちコミュニケーションってものが取れてないわよね。出会ってからいったい何年経ってるのよ」
☆「いいの。どんなに離れてても、彼女は私のこと、自分で気づかないうちに助けてくれちゃうの。彼女が『あれ?』って思ってるうちに意図せずピンチの私をいつも助けちゃう。この数日でもそう。その力は、本当にすごいから」
★「全然よくないわよ」
☆「そうなの?」
★「もう。。」
☆「長野戦のあと、アウェイ側のベンチの前で、池ヶ谷夏美選手を筆頭に長野のチームの皆さんと話している彼女は、試合後にゴール裏に挨拶に来たときの痛恨の無念な様子とは違って、すーごく、ほんとものすごーく楽しそうで、少し遠くから眺めてて、嬉しかったなぁ。あ、じゃあ私、ちょっと別の作業があるから、これで帰るね」
★「はい、またね。身体、本当に気をつけなさいね」
☆「うん、ありがと」


2019.7.8
☆「オモイデ」
★「いらっしゃい、待ってたわ。昨日の試合では、真奈美さん、2得点のうち、1点目は自分でファウルもらって自分の直接FKでアシスト、2点目はピッチの半分くらいをドリブルでボールを運んで、アシストとなる亜里沙選手に見事なスルーパス、数人に囲まれてもキープしてたし、ゴール前にも個人技で迫ったり、選手交代によって最後まで様々なポジションをこなして」
☆「オモイデ、興奮しすぎ笑」
★「あなたが【写真MEMO】の試合の記述から、真奈美さんの部分を削除なんかするから!」
☆「だって、、個人的な感情と区別がつかないんだもの。。」
★「まだまだねぇ」
☆「彼女に関しては、永遠に無理な気がする」
★「あのねぇ! 選手として客観的に評価してあげられないなんて、それ自体」
☆「そんなこと言ったって、どこからが客観的か分からないもん!」
★「もう! そんなことだから信頼してもらえないのよ。全部ひっくるめて、世界中に謝って!」
☆「ごめんなさい。。」
★「はぁ、ちょっと、気が済んだわ。いずれにしても、昨日の試合では、真奈美さん、いろいろな場面で、仕事人だった」
☆「ほんと」
★「反応薄いわね。削除したのもそうだけど、真奈美さんの活躍、嬉しくないの?」
☆「嬉しいよ!? 彼女、凄く綺麗だった」
★「どういう感想よ笑」
☆「うーん、そうとしか。。」
★「こりゃ、やっぱり永遠に無理かも。。」
☆「ごめんなさい。。」
★「そういえば、あなた、スタジアムでも声が出たのね!」
☆「うん、その件は、【写真MEMO】に書いたから、割愛するね。本当にいいチャンスをいただいたなぁと思う」
★「私の中にはその件、真奈美さんと関係ないから詳細は残っていないけれど、それも神さまからのプレゼントよきっと」
☆「そうだね!」
★「いろいろ元に戻りそう?」
☆「ううん、それは難しいかもしれない。ただね」
★「うん?」
☆「話せるようになったばかりの、バックスタンドまでの移動中、会長さんという方とご一緒だったんだけれど」
★「はぁ」
☆「私が、『これまで公開で見えるように応援しなきゃいけないと思っていたプレッシャーから解放されたんです』ということを話したときにね」
★「うん」
☆「『重しがとれたんならよかったなぁ』って言ってくださったんだ」
★「うん」
☆「『どうしなきゃいけないってのもないしさ』っていうこともね。でも、私が『これからまた応援について考えます、目に見えるように応援するかどうかも考えます』って言ったときにね、『それも大事なんだけどね』って、その言葉を二度、仰ったの」
★「それ、って、目に見えるように応援することってこと?」
☆「うん。会長さんは応援団の一員でいらっしゃるしね。そう、目に見える応援も大事って、すごくよく分かるの。そういうものが試合全体の力になるって、思うから」
★「おそらく選手にとってもね?」
☆「多分ね」
★「大事だって分かっているなら、やったら?」
☆「それを個人的なところに持ってくると、それが本当に大事かは分からないと思う」
★「そうなの? そもそも、あなたは、真奈美さんの力になると思って応援してたの?」
☆「ううん。単純に応援したいからしてた。自分のやることが彼女に影響するなんて、考えたことなかったし、実際そうだったと思う」
★「そう」
☆「今も、きっとそれは変わらなくて、むしろ負担だったのかもしれなくて、だから彼女は私の自由意志に任せる、という意味のことを言ったんだと思う」
★「今は、じゃあ、あなたは目に見える応援をしたくなくなったのね?」
☆「まだね、プレッシャーから解放されたばかりでよく分からない。彼女に負担を感じさせてまでやることじゃないし」
★「負担かどうか考えるのは真奈美さんであって、あなたじゃないわよ」
☆「そうだね」
★「まぁ、今回は、声が出ない間にずいぶんいろいろなことがあったものね。真奈美さんの感情的な部分が確認できない以上、あなたは自分が本当にしたいことを、起こるかもしれない未来にも責任を持って、やるしかないの」
☆「うん。私も、自分にとってのリスクマネジメントをしていかないといけないからね。起こるかもしれない未来で病気が悪化するような選択はできない。自分のためにも、家族のためにも」
★「そうね」
☆「【写真MEMO】に書いたとおり、着実かつ全速力で、考えてく」
★「言っておくけど」
☆「うん?」
★「あなたが真奈美さんや真奈美さんのプレーを好きだと思う気持ちは、誰にも侵食されるものじゃないのよ。真奈美さん自身にさえ。それに、それをあなたがどんな形で応援しようとね」
☆「頭では分かることだけど。。世界は自分だけで回ってるわけじゃないもの」
★「それでも、自分の気持ちには正直にね」
☆「うん。そうじゃないと、永遠に心のリストカットを繰り返すだけだと思うから。それもリスクマネジメントの一部だよ」
★「それが分かってるならいいわ」
☆「真奈美さんのいいプレーがオモイデの記憶にたまってくれて、嬉しい」
★「良い栄養をありがとう」
☆「それじゃ、またね」
★「・・・」
☆「あ、ごめん」(ぎゅっと抱きつく)
★「またね」


2019.7.1
☆「オモイデ」(そっと抱きつく)
★「おかえりなさい」
☆「ただいま」
★「あなた、前の週の間に、静岡に行ってきたのね。っていうか、うなぎパイの部分しか私には分からないんだけれど」
☆「うん、ちょっと、、新潟に続いて仕事だったみたいで急遽。。そうそう、浜松にあるうなぎパイファクトリーにも行ったんだよ!」
★「真奈美さんが、チームのプロフィールの口癖のところに『うなぎパイ!』って書いてたことは、私にも分かってるわよ」
☆「うん。あれが出たときにね、うなぎパイのこと調べてて、、うなぎパイファクトリーのこともそれで知って、いつか絶対行きたいって思ってたの」
★「あと、その後のモバイルサイト内のインタビューでも、うなぎパイのことをインタビュアーのかたに突っ込まれてたわね笑。それで、『ゴールド』について熱く語ってて」
☆「それさぁ、調べたんだけど、うなぎパイってとても繊細というか、ぶっちゃけ割れやすいお菓子なので、ネットでは扱っていないのね。だからかもしれないけど、うなぎパイでゴールドって調べても全然分からなくて」
★「ファクトリーの店員さんに伺って笑」
☆「もうね、、恥ずかしかったっていうか、、でも今聞かなくちゃって思って」
★「ゴールドだったわね」
☆「うん、ゴールドだった。包装が笑」
★「美味しかった?」
☆「うん! ファクトリーで、3種類のうなぎパイを味見できたんだ。普通のうなぎパイも久しぶりに食べて改めて美味しかったけど、ゴールドは、って、、正式名V.S.O.Pも、美味しかったよー! ブランデー風味の『真夜中のお菓子』! でもお子様でも大丈夫!」
★「まぁ、うなぎパイの宣伝したところで。少し落ち着いてきた?」
☆「うん。だいぶ自分を取り戻してる。静岡に行ったときは実は話せたんだ。でも、先日の試合ではまた無理だった。現実感を失っていたのも自分を見失っていたのも、おそらく仕事のせいだったけれど、そのほかに、いろいろまだ葛藤があるのかもしれない」
★「とうとうギオンスでも、横断幕を出さなかったしユニも着なかったのね」
☆「少し、、話がそれるんだけれど、いい?」
★「いいわよ」
☆「この前の試合でね、ステラの田中陽子選手が海外移籍に挑戦することになって、今シーズン、ステラでの最後の試合になって、壮行セレモニーがあったりしたの」
★「そう」
☆「陽子選手はね、私の中で、U-20W杯のときの大活躍もそうなんだけど、私が好きなステラのサッカーの中に必ず含まれていた、存在感の大きな選手でね」
★「今シーズン、真奈美さんとのポジション争いのような形になっていた時期は、あなた本当に苦しんでたわね」
☆「彼女が活躍してくれていたから、その時期の葛藤も乗り越えられたなって思う」
★「彼女って、真奈美さん?」
☆「うん。試合中ね、陽子選手の写真を撮らせてもらうとね、足の使い方が本当に個性的とというか独特で、その姿がすごく嬉しかったんだ。ああ、目で見ていいプレーだなぁって思っていたあの技術は、この足の使い方から生まれてくるんだなぁ、この足を陽子選手はずっと自分が置かれた環境の中で育ててきたんだなぁって分かって」
★「好きな選手なのね」
☆「うん」
★「じゃあ、記念にサインでももらってきた?」
☆「ううん。私ね、選手としてプレーを好きだと感じている人は他にもたくさんいるけれど、そういう人たちがピッチでプレーしているのを観るだけで、あるいはその余暇で発信してくれたものを目にしたり、メディアに出てくれたりするところを見られるだけで十分で、サインがほしいとか、記念グッズがほしいとか、話がしたいとか、自分を認識してほしいとか、全然思わないの」
★「そうなの?」
☆「そうなの。元気出してほしいなとか、変わらずお元気なのが嬉しいとか、彼女も一緒に写っている写真をあげてくれたりしてることに対する御礼の気持ちを伝えたいな、と思っていた選手や元選手のかたに、偶然近くにいられたときに声をかけることはあったけど」
★「彼女って、真奈美さん?」
☆「うん」
★「ということは、出待ちしてサインもらったり、たまに差し入れしたり、グッズ集めたりしている真奈美さんだけが、特別ってことなの?」
☆「そうみたいなの。私は、例えば他のアーティスト、音楽では、特にライブやコンサートに行くことも滅多にないし、美術の方でも作品を観たいという気持ちはあるけど、作っているご本人の近くに行きたいとか会いたいとかいう気持ちはない。作品や作品の制作に関する話が聞きたいときもあるけど、その際もサインとか、もらったりしたことないの」
★「はぁ、そう」
☆「そういう意味で、彼女は私にとって本当に特殊な人で。でも、これまではね、彼女を選手として見てあげることがいちばん大事だって思ってきて、だから、選手としての活躍にいちばんスポットが当たるように、HPでも頑張ってきたつもり」
★「あの膨大なDATAページとかね笑」
☆「うん。でもその作業もね、、、。ごめん、また少し話がそれちゃうんだけど、、」
★「最終的に繋がってくれるなら、頑張って聞くわ」
☆「ごめんね。あのね、この前に話した『自他の境界』が私の病気では崩れる、という話とも繋がっているんだけど、彼女を初めて湯郷のピッチで観て好きだと思ったときにね、私はまだ自他の境界ができあがってなくて、自分の中だけで好きだと思う気持ちを持っておくことができなかったの」
★「んん?」
☆「本来の私なら、あ、そう、少し話したけど、例えば女子サッカーの入口になってくれた宮間あや選手みたいに、選手として好きな場合は、それがどんなに好きだったとしても、プレーを観られたりメディアなどを通じて話が聞けたりする、いろいろな人が宮間選手について話しているのを聞く、それだけで十分で、現地に行っても接触しようとは思わないの。でも彼女を好きになったときには」
★「彼女って、って何度も聞くけど、真奈美さん? なんでそう呼ばないの?」
☆「ごめん、今は呼べない」
★「そう、じゃ、続きどうぞ」
☆「彼女を好きになったときには、自分の中だけで収めておくのは無理だったの。それは、その気持ちがあまりにも特別で、強くて、私のゆるい自他の境界を超えて外にまで出ちゃったのね。それで、私の中では大変なことになって、それを何とかするためにHPを作ることになって」
★「自他の境界の外に出ちゃったというのは、あなたの妄想よね?」
☆「うん、そう。今なら、そう言える」
★「HPでは女子サッカーに関して、ずいぶんいろいろなことを扱ってきたけど」
☆「そうだね。この、外に広がってしまったエリアを何かで埋めないといけなかったから、まずとにかく彼女のいる世界のことを知ろうと思って、自分の目に入るあらゆる方向で、女子サッカーに関すること、彼女に関することを集めた。そうしてできたのがあのHPだった」
★「ただの応援の賜物じゃなかったのね」
☆「応援の賜物だったことは間違いないけど、オモイデの言うとおり『ただの』じゃなかった。病気からのプレッシャーで、彼女を好きでいることを、応援しているということを、公開で、証明しつづける必要があった」
★「もしかして、今はその必要がなくなったの?」
☆「うん、多分、そうなんだと思う。あのね、これも意外なところから起こってきたことで。。昨年の秋から彼女に向かって個人的に誰にも言わずに続けてきたことがあることは、前にも少し話したけど、それが『閉じた自分』を作り上げてくれたの。私に、病気になる前のような『私の中だけでのこと』、というのを、つまり、私にとっての本当のプライベートを持つことを許してくれた」
★「それは、、あなたの病気にとっては、とても貴重な回復ね」
☆「うん。症状として最も根本的なところだと思ってる。私はただ、後悔がないように目一杯、彼女を応援をしたかっただけで、そんな効果は考えていなかった。彼女はまた、自分の意図しないところで、私のこと、思わぬ形で助けてくれたんだよね」
★「真奈美さんとあなたはきっと、出会ったときから、そういう関係というか運命にあるのね」
☆「ここまで来ると、そうかもしれないね。私は全然、彼女のために何もできてないけど」
★「何もって。。そういえば、この間、チームの彼女のブログのコメント部分で、あなたのこと真奈美さんのお母さんと間違えてるかたがいたわね」
☆「・・・」
★「あなたが真奈美さんを見守っていることは、HPやあなたを知らないかたにさえ伝わっちゃってるんだなって思ったわ」
☆「すごくびっくりして、、嬉しかった、、けど、、本物のお母さまに申し訳なくて。ちょうど、もうユニは着ないから」
★「そういう気持ちも、外には見えない形にしたいの?」
☆「したいというか、外に見える形にする必要がなくなったの」
★「気持ちが変わったわけじゃないのね?」
☆「変わってない、と言うのは難しいほどいろいろな過程を経てきたけど、やっぱり、根本的には変わってないのかな」
★「真奈美さんを応援している存在であることをアピールしなくなることで、あなたに届かなくなるものもあるかもしれないわね」
☆「そうだね。彼女を応援している人として認識されることで、今まで、たくさんの方々に数え切れないほどのギフトをいただいてきた。目に見えるものも、見えないものも、形のあるものも、ないものも。みんな、彼女のおかげで」
★「それは私の中にもたくさん残ってるわ。あなたはそういう方たちの中でこそ、自分の居場所を持ててきたのよ。それは分かってる?」
☆「分かってる。そこはまだ、うまく自分の中でも・・・でもここからどうなっても、それも運命だと思う」
★「静岡では話せたのに、この間のギオンスではまた声が出なくなっていたところからしても、あなたが最初に言っていたとおり、まだどこかに相当強い葛藤があるんだと思うわ。回復による変化からの葛藤だから、自分を責めないでね」
☆「うん。こんなになっても、試合は観たいの。彼女のいるステラのサッカーをできるだけ現地で観ていたい。それに、ただほんのご挨拶だけだとしても、お目にかかりたい方々もいる。あのね、こないだの試合の帰りに、いつものバスに乗ったら、いつもご挨拶してるステラサポの方に偶然お目にかかって。それにね、相模大野の駅で、ちょっとお腹空いたなと思ってラーメン屋さんに寄ったの。具体的なことは写真MEMOの方に書くけど」
★「うん」
☆「そうしたら、カウンターの隣に座っていた若い男性と店長さんが、陽子選手の話をしてて。私は話せないから、横やりも入れられなかったけど、その光景の隣でラーメン食べていられることが嬉しくて。ついでに、駅まで戻ってきたら、また別のステラサポさんに偶然お目にかかって笑。わぁ私、本当にステラという存在の近くにいるんだなぁって思ったんだ。すごく幸せな気持ちだった」
★「それもまた、真奈美さんが連れてきてくれた場所なのよ」
☆「うん。感謝してる。本当に」
★「そう。分かった。ここのところ、ずいぶん動いたから、よく休んでね」
☆「うん。話を聞いてくれてありがとう。私にとってはね、オモイデと二人きりで彼女について話せるこの場所も、大事な守られた空間なんだよ。オモイデのツッコミに泣きそうになることもあるけど笑」
★「遠慮がなくてごめんなさいね。でもこの場所が守られていると感じられるならよかったわ」
☆「それじゃね」(ぎゅっと抱きつく)
★「はい、ありがとう。またね」


2019.6.16
☆「オモイデ」
★「あら、来られたの! あなたまた」
☆「ちょっと、そのことは待って」
★「はい。こうして話せるようになってから、あなたの言葉が不自由になったのは初めてね」
☆「そうだったね」
★「前に話したときに、自分を見失っていると言っていたけど、少しは取り戻せた?」
☆「ううん、まだ」
★「その割には、目に見える変化が大きいけど」
☆「そうだね」
★「そういえば昨日、選手応援グッズ一式が届いてたわね」
☆「うん。仙台のときに、おっきなタペストリーが届いたときのことを思い出したよ。彼女がサッカーをお休みしている時期にね、どーんって届いちゃって」
★「そんなこともあったわね」
☆「せっかくうちに来てくれたんだから、これまで集めたグッズたちと、話に花でも咲かせてくれるといいな」
★「これまでの、となると小さいグッズも多いせいか、そのおしゃべりは、なんかとてもかしましいイメージだわね」
☆「そう? ふふふ。そうそう、なでしこリーグのトレーディングカード、最後に落札した分も届いた」
★「クリックポストって、追跡ができるからなのか、郵便局のサービスでも、けっこう届くのに時間がかかるシステムなのね」
☆「だよね。初めて使った。っていうか、そもそもオークションとか初めてで」
★「あなたほとんど無意識にやってたから、大丈夫なのか心配だったわよ」
☆「トレーディングカードの発売日の朝に、ヤフオクの出品情報がたまたま得られてね。へぇーって思って。昔作ってたYahoo!アカウント引っ張り出してきてやったんだけど。きっと全然落とせないと思って、とりあえずヤフオクがどういうものか知ろう!と思って入札してたら、そのまま落札日まで行って落ちちゃったりして」
★「とりあえず欲しいものが落札できてよかったじゃない。今はフリマのメルカリで即決で購入できるようになってきてるし、心臓に悪いようないちばんの山は越えたかしらね」
☆「発売当日から試合会場でも売られはじめているんだよ。自力で欲しいカードを手に入れたい人もいると思うな」
★「あなたはトレーディングカードをボックスで購入したから、枚数からすれば、レギュラーカードは入っていない選手のほうが少ないくらいなのに」
☆「神さまはちゃんと分かってるのよ。差し上げたいと思う方のがことごとく出てきたときには本当にそう思った。出てくれて嬉しい選手もけっこういて。ああ、なでしこリーグには、この限定メンバーだけでもいい選手いっぱいいるなぁって、改めて思ったよ」
★「今までは一人しか見てなかったものね」
☆「そうだね」
★「8日の試合では、横断幕も出さず、ユニもタオマフも取り出さず、カメラも今季初出場の選手が出た終盤まで構えずに、スタンドに座っていて」
☆「それ言わないとダメなの?」
★「言わないと私が禿げそうなのよ」
☆「そっか」
★「応援をしなかったってことよね」
☆「うん」
★「うんって・・・」
☆「どうしてそういうことになったか、自分でもよく理由が分からないの。繋がっていたものも切らせてもらって。削除したものもある。でも今回は病気からの判断じゃないと思う。なんだか、そうするのが自然だったから」
★「応援をやめるの?」
☆「今は、応援という気持ちが、対象限らず、完全に自分の中から抜け落ちてる。ただ、応援はできないけれど、女子サッカーは観たいの。だから試合の観戦はしたいし、この前の試合でステラのサッカーは変わらず好きだなって思ったよ。ももちゃんも大好き。W杯のなでしこジャパンの試合も何とか映像で観てる」
★「きっと疲れちゃったのね。あなた、どう考えても頑張りすぎてた」
☆「そうかもしれない。今はまだ、自分が取り戻せていないから、この先どうするのがいいのかも分からないし、ここのところの自分の選択に関する判断もできない。だから『それ言わないとダメなの?』って聞いたの」
★「ごめんなさい」
☆「心配してくれているんでしょ。大丈夫よ」
★「大丈夫に見えないわよ。声だってまだ不自由のままだし。今回はちょっと長い」
☆「そうだよね。あのね、今回は初めて、他の人に先駆けて、家の中にいるときの母親に対してだけは話せてるときもあるの。不便だったり申し訳なさがあるから頑張ってるんだけど、ダメなときはまったくダメ」
★「頑張らなくていいわよ。余計に状態が長引いてしまうかもしれない」
☆「そもそも声が出なくなったのは、自分のお腹のあたりから自分の心の声が流れてしまっているという私特有の妄想が関係しているんだけど、それは、この病気の中心的な症状である自他の境界が崩れているところに起因していて」
★「むむむ? ちょっと待って、何? じたのきょうかい?」
☆「自分と他人を区別する境界のことね。つまり自分を自分としてまとめている形っていうか、壁のようなものが、この病気では崩れてしまうの」
★「それで、自分の心の声が他の人へ流れてしまう?」
☆「そうそう。思考は頭で考えるから、頭から電波が出てるというふうに妄想する人も多いみたいだし、同時に他の人の声が流れ込んできて、それが被害妄想とかにつながってしまうというのもよくある症状なんだ」
★「あなたにもそういう妄想があったわね」
☆「うん、でも今は他の人を悪者にしたくないという気持ちが、妄想よりも勝ってるから、大丈夫」
★「昔、真奈美さんに究極の悪口を言わせてた時期があった。あれは被害妄想の亜流よね」
☆「あの頃は、それを妄想だと、つまり現実じゃないという認識が妄想に勝てなくて、本当に申し訳なかったと思ってる。対象が特定な相手の場合=つまり彼女の場合だけど、私が強い気持ちを持っている人ほど、いい妄想も悪い妄想も合わせて、強い症状が出てしまうのだとようやく分かって、それからはなるべく強い気持ちを持たないように一生懸命コントロールしてきて、、うまくいかないときもあるけど、今も誰に対しても常に気をつけてる。この病気は、危機意識に由来して、脳内を活性化させるドーパミンが出すぎてしまうことも、発症の原因の一つだと言われているから、陽性の場合、基本、頭が動きすぎてしまうの。だからそれを抑える薬を使ってて、要は強い気持ちを持ちやすいのね、それがよくないらしいから。って。あのね」
★「はい」
☆「話したいことから話題がそれちゃったから、戻すね」
★「うん。ちょっともうあなたの言うこと、いろいろ頭に入ってない笑」
☆「いいのいいの、ごめん、またちょっとハイになりかけてた」
★「で、話したいことは?」
☆「うん。今回、話すことがまず家の中にいるときの母親にだけできたこともそうだし、実は書くことに関しても自分の中だけでは先に少しだけできてたの。それってね、これまでとは違って、自分というエリアができあがってきてたってことだなって思って。自分に対してや自分にとっておそらく安全だと認識できている場所でできることと、他者に対してや外の場所でできることで、差ができた。それは、自他の区別が確実についてきたってことかもしれないの。それって、実はこの病気にとっては、大きな回復の印というか、前進なんじゃないかと思うんだ」
★「ふむ」
☆「それが確認できただけでも、話せなくなった甲斐があった」
★「それが分かったなら、あっさり誰とでも話せるようになるとか、そういうことはないのね笑」
☆「そう思ったんだけどね、、今は悪いほうにいってるな。母親とも話せない」
★「話せないのって、つらくはないの?」
☆「ちょっとはつらいかな。主に面倒な状態で申し訳ないという気持ちで。だからできるだけ明るく振る舞うようにしてる」
★「そこは無理する必要ないでしょ。自分を許してあげて、つらさはできるだけ軽減しなくちゃ。それも結局、状態の回復に影響するわよ」
☆「そうかな。気をつける」
★「自分の中で大切な過程を経ているなら、他のことは横においていいわよ。その件と、応援のことと関係あるのか知らないけれど」
☆「そこは私にも分からないの。本当に分からない」
★「そういえば、真奈美さんのシクラメン、だいぶしんどそうね」
☆「うん、、昨年冬から部屋にいるシクラメン、勝手に彼女だと思って育ててきたんだけれど、来た当初の最初の花が終わってから、冬の間、沈黙してるなぁって思ってたら、4月に入る前あたりからいきなりたくさん花芽が出てきて、彼女がゴールするのに合わせて花が咲いていったんだ。本当にびっくりした。2輪一緒に咲いちゃって、え、2輪も大丈夫? って思ったら、ゴールの他にアシストが2本とかね笑。今も実は花芽がまだけっこうあるんだけれど、急に枯れてきちゃって。でもね、私が応援できなくなったことで、きっと彼女とのシンクロが解けただけだと思ってるよ。シクラメンにとっては急な暑さも来たりしてしんどかったろうし、もうすぐ休眠期だから。彼女はきっと大丈夫」
★「ステラに来てから、本当に夢のような時間だったわね。真奈美さんも素晴らしい成果を上げて」
☆「うん。幸せな思い出がいっぱい」
★「応援する人間としてついていけなくて残念ね」
☆「そうだね。でも彼女が絶好調の今だから、この選択ができたのかもしれない。昨年の秋からここまで、本当に何も後悔がないほど精一杯頑張ったし、素晴らしい環境と周囲の方々のお気遣いで、サポーターやファンらしい経験もたくさんさせてもらった。もう十分。これまで一方的で我儘な応援をずっとさせてもらってきた。病気が悪化するたびに何度も沈没して、見ていただく方々のことも疲れさせてしまった。もういいの」
★「私から見たら、あなたは本当に疲れているし、回復の過程にあったとしても、まだ病気の影響も受けてるように思う。今のあなたのいろいろな判断が正しいとも私は思わないけれど、それでも今の自分を許しなさいね。以前だったら、沈没したら観戦にすら行けずに、ひたすら苦しんでた」
☆「うん。そうなんだよね。昔のことって、忘れてしまう。今年が歴代最高の体調だってことを、認めてあげなくちゃね」
★「今日あなたから聞いた話ね、頭からこぼれ落ちかけた内容もあるけど、結局のところ、あなたにとってのいちばんの薬は、『安心』なんじゃないかしら」
☆「え?」
★「あ・ん・し・ん」
☆「安心。。そうか。そうかもね」
★「それを目指して歩いていけば、きっと、また良くなっていくわよ。あなたが応援できなくなってさえ女子サッカーを観たいのも、それと関係あるかもしれないわよ」
☆「そう、、そうかもね? ステラの練習見ながらよく泣いてたしね」
★「そこに真奈美さんもいてね」
☆「その不思議さといったらなかった。あの泣くのも、安心と関係ある気がしてた。試合は真剣勝負なのにね」
★「でもあなたの思い出の中の印象では、女子サッカーの試合や真奈美さんを観ているあなたの心は、いつもどこかで安心しているように見えるわよ」
☆「そうなんだ。。試合中の彼女、けっこう怖そうなのに笑。そうなら私は私にとってとても大切なもの、大切な人と出会ったんだね。じゃあ、そろそろ帰るね」
★「今日は抱きつかないの?」
☆「ごめん。今日は」
★「じゃ、少しだけなでて」
☆「はい」
★「これまでいつも、私に抱きつくことであなたは安心してきたかもしれないけど、私もあなたの身体のあたたかさを感じられることで安心できていたのよ。そのこと、覚えてて」
☆「そうなんだ。オモイデも安心をくれていたんだね。私も安心を渡せてたんだ。考えたこともなかった。教えてくれてありがとう。おやすみ」
★「おやすみなさい」